第1回 オリエンテーション

この授業について

「使う」だけでなく「創る」人になろう

この授業では情報技術について勉強しますが、「スマホもウェブも毎日使っているし、今さら勉強しなくていいよ」とか、「私はIT系企業に就職するつもりはないから、関係ないわ」とか思っていませんか?SFCでは、どのような専門分野においても情報技術を活用できる人、また、他人の作ったサービスを使うだけでなく、自分で新しいサービスを創りだせる人を育てようとしています。

「でも、お金さえ出せば便利な機器もサービスも手に入るんだから、わざわざ自分で作らなくてもいいんじゃない?」と思う人もいるかもしれませんが、既にあるものを使っているのでは、その枠から出ることはできません。新しいアイデアを形にするためには、それを実現するためのシステムを作る必要があります。また、状況の変化により今までのシステムでは対応できなくなる場合があります。その一つの例が災害などの非常事態です。

東日本大震災の時にGoogleが提供したパーソンファインダーは、元になるシステムはその前のハイチ地震の時にできていましたが、被災地の状況に合わせて改造され、次々と新しい機能が追加されました。また、名簿写真のテキスト化は多くのボランティアが人力で行い、それを集約するシステムも構築されました(下記参考資料参照)。

練習問題01-1(☆)
  • 自分が興味を持つ分野と情報技術の関係(例えば「介護と情報技術」とか「政治と情報技術」とか)について調べ、どのような事例があるかまとめなさい。

高校までの「学習」と大学の「学問」の違いの一つに、自分の考えと他人の考えをはっきり区別するということがあります。上の練習問題の解答は、おそらく書籍やインターネットに掲載された文章を参考に書くことになると思いますが、何を参考にして書いたか、文章をコピーした場合はどの部分がコピーなのか、を引用のルール(SFC GUIDE Vol.2 p.33〜34 参照)に従って明記しなければなりません。引用であると明記せずに文章をコピーしたレポートを提出すると、不正行為(試験のカンニングと同じ)になりますので注意してください。

この授業で勉強すること

情報技術は、原子力発電所からゲーム機まで、ありとあらゆるところで使われています。それを一度に勉強するのは無理ですから、この授業ではウェブに絞って勉強します。ウェブと言ってもいろんな技術が使われていますが、その中でもプログラミングに重点を置きます。

ウェブが紙に印刷された情報と違うのは、マウスやキーボードで操作すると動いたり新しい情報が表示されたりするところです。このような動きを作り出すには、プログラミングという技術を使います。Amazonでポチッとすると買い物ができるのも、プログラミングのおかげです。ただし、半年勉強しただけでいきなりYouTubeやTwitterのようなウェブサイトが作れるわけではありませんが、例えば、次のような作品なら作れるようになります。

  • 桃太郎(過去の履修者の作品を教材用に再構成したものです)

この教材について

  • 基本的な知識を暗記することも必要ですが、知識が必要になった時に自分で調べる能力も重要です。ウェブで公開されている資料を見ればわかることは細かく説明せず、外部資料へのリンクだけを載せてありますので、積極的にリンクをたどって自分で調べる学習を心がけてください。
  • 一部、スライド形式の教材を埋め込んでいるところがあります。PDF形式でスクロールして表示するようになっていますが、右上のアイコンをクリックするとGoogleDriveを使用して拡大表示やダウンロードができます。また、PPT形式のファイルをダウンロードすることもできます。
  • 練習問題には難易度によって星が付いています。星3個までは必ずやってください。星4個以上は余裕がある人向けです。

成績評価

評価基準は「成績評価について」のページを見てください。なお、学期の途中で変更される可能性もあります。

授業で使うソフト

困ったときは

  • SFC CNS GUIDE にFAQ(よくある質問)が載っています。
  • それでも解決しなければ、CNSコンサルタントに相談してください。

CNSコンサルタントは、CNSの一般的な使い方を相談するところです。「情報基礎1」の課題の解き方がわからない時は、CNSコンサルタントでなく担当の教員・TA・SAに相談してください。

オペレーティングシステム

オペレーティングシステムとは何かということは第10回で詳しく説明しますが、とりあえずコンピュータの電源を入れると最初に動き出すソフトだと思っていてください。

特別教室のiMacでは、MacOSという種類のオペレーティングシステムが動いています。基本的な使い方は下の参考資料を見てください。

ブラウザ

特別教室のiMacでは次の二種類のブラウザが使えます。どちらを使っても差し支えありませんが、表示のしかたや機能に若干の違いがあります。この授業ではFirefoxを使って説明します。

Firefox
モジラ財団が開発している、Netscapeの流れを汲む由緒あるブラウザです。
Safari
アップルが開発しているMacOS付属のブラウザです。

ターミナル

MacやWindowsの操作は、主に GUI (Graphical User Interface) という方式です。これは、ディスプレイに表示されたアイコンやメニューをマウスを使って操作します。

それに対して、 CUI (Character User Interface) という方式もあります。これは、すべての操作を、文字で書き表した命令によって行います。

GUIは直感的で、初心者でもすぐに操作できますが、CUIは命令(コマンド)を勉強しないと使えません。その代わり、CUIの方が効率が良く、大量の操作の繰り返しも素早くできます。

MacでCUI方式のコマンド操作を行うためには、「ターミナル」というアプリケーションを使います。

正確には「ターミナル」はキーボード入力と画面表示を受け持っているプログラムで、コマンドの起動を行うのは「シェル」という別のプログラムです。図にすると次のような構造になっています。

それでは、実際にターミナルを使ってみましょう。

  • Dockにターミナルのアイコンがあれば、それをクリックします。無い場合は、Applicationsフォルダの中のUtilitiesフォルダを探してください。
  • ターミナルのウィンドウの左端に「%」(他の記号のこともあります)が表示されているのは、コマンドの入力を待っている印(「プロンプト」と呼びます)です。この状態でキーボードからコマンドを打ち込みます。「%」が表示されていない状態では、次のコマンドを実行することはできません。
練習問題01-2(☆)
  1. 現在時刻を表示する date というコマンドを実行しなさい。

    • dateと打った後にリターンキーを押します。
  2. 今月のカレンダーを表示する cal というコマンドを実行しなさい。
  3. Macの計算機アプリを起動しなさい。コマンドは次のようになります。

    • open の後に空白が必要です。空白より後の部分を引数と呼びます。
    • /App まで打ってTABキーを打つと、/Applications と補完されます(/App で始まるファイルが他にない場合)。
  4. ディスクの中のファイル名をすべて表示しなさい。コマンドは次のようになります。

    • -Rls コマンドの動作のしかたを指定するもので、オプションと呼びます。
    • 終了するまでにずいぶん時間がかかります。途中で中断するにはコントロールキーを押しながらCを押します。
  5. シェルを終了する logout コマンドを実行しなさい。

    • ターミナルの設定によってウィンドウが自動的に閉じる場合と閉じない場合があります。

テキストエディタ

文章を書くのには、「Word」や「Pages」のようなワードプロセッサを使うことが多いです。しかし、プログラムを書く時には、文字の大きさやフォントを変えたり、罫線を引いたりする機能が邪魔になります。なぜかというと、保存したファイルの中にプログラムと、フォントなどの修飾情報が混ざって記録されるのですが、修飾情報はワードプロセッサによって違うので、他のアプリがプログラムを処理する時に混乱するからです。

ですから、プログラムを書く時はワードプロセッサではなくテキストエディタを使います。テキストエディタは、余分な情報を付けずに文字だけを記録します。

高機能のテキストエディタは、プログラムを書く時に見やすいように色分けをしてくれますが、この色の情報はファイルに保存されるわけではありません。編集中にプログラムの構造を解析し、自動的に色を付けて表示する仕組みになっています。

特別教室のiMacでは、次の三種類のテキストエディタが使えます。

mi
MacOS X 用に開発された軽快なエディタです。元は「ミミカキエディット」という名前でした。
Emacs
大昔から使われてきた史上最強のエディタです。GUIなど無かった時代にできたので、すべてキーボードで操作するのが基本になっていて、初心者には若干とっつきにくいです。viとの宗教戦争が有名です。
Atom
GitHub社が開発した新しいエディタです。将来有望と言われています。
練習問題01-3(☆)
  1. テキストエディタで新しくファイルを作り、適当な内容の文章を入力して保存しなさい。
    • ファイルを保存する場所は デスクトップ にします。場所については第3回で詳しく説明します。
    • ファイル名は aaa.txt にします。最後の .txt は、拡張子と言って、このファイルの中身がテキストであることを表します。

  2. ターミナルを起動し、次のコマンドで今作ったファイルの中身を表示しなさい。

    • cdコマンドは、作業する場所を変更します。
    • 場所の指定方法は第3回と第10回で詳しく説明します。~(チルダ)は自分のファイルの置き場所を示します。CNSにはたくさんのユーザがいますので、単にDesktopでは、誰のDesktopなのか分かりません。

    • catコマンドは、ファイルの中身をターミナルに表示します。
  3. ワードプロセッサ(Microsoft Wordなど)で同じ文章を入力し、Desktopに新しいファイルとして保存しなさい。ファイル名は aaa.docx にします(ただし、docxの部分はワードプロセッサによって違います)。
  4. さっきと同じようにターミナルで中身を表示しなさい。aaa.txtと違うのはなぜでしょうか?
  5. 今作ったファイルはもう要らないので削除しましょう。マウスでゴミ箱に入れ、Finderメニューの「ゴミ箱を空にする…」を実行することもできますし、ターミナルで次のコマンドを実行しても削除できます。

    • rmコマンドは、一旦ゴミ箱に入れることはせず、実行するとすぐに削除します。
    • aaa* は「aaaで始まる名前のファイル全部」という意味です。今の場合は、aaa.txtaaa.docxが一度に削除されます。aaaで始まる名前のファイルが他にもあれば、それも削除されてしまいますので注意してください。

特別教室のiMacにインストールされているEmacsは、そのままではちょっと使いにくいので、~/.emacs というファイルを作って、次の一行を書いておくとよいです。

  • (load-file “/pub/sfc/ipl/elisp/init.el”)

これで次のように設定されます。

  • メタキーをoptionに変更し、command-X,C,Vでコピーペーストできるようにする。
  • 日本語メニューにする(ただし一部のみ)。
  • auto-complete, physical-line などの設定。


電子メールの使い方

(PPT版ダウンロード)

自分のPCやスマホでCNSのメールを読み書きするには、二つの方法があります。

  • ウェブブラウザで https://rcube.sfc.keio.ac.jp にアクセスする。バスワードはIMAP/SMTP用のものなので間違えないようにしてください。
  • メールソフトでCNSのメールサーバにアクセスするよう設定する。設定方法はSFC CNS GUIDEの42ページ〜55ページに載っています。

(Keynote版ダウンロード)(pptx版ダウンロード)

携帯のメールアドレスに転送する場合、迷惑メールフィルタの設定によっては大学からのメールが受信できないので、設定を確認して下さい。

タッチタイピング

日経新聞の記事によると、社会に出てタイピングが必要と感じる若者が多い。

日本経済新聞2017年12月16日S11面「くらし物語」より

タイピング練習

(PPT版ダウンロード)

いきなり試験問題をやっても上達しません。練習ソフトを使って段階的に練習してください。スポーツでいきなり試合をやらず、基本動作の反復練習から始めるのと同じです。

キーボードを見ずに打つ練習をすることが大切です。特に次のことに気をつけてください。

  • 手首を机に付け、指を軽く曲げた自然な状態でホームポジションのキーに指が乗るようにします。
  • ホームポジションを基準にして、他のキーの相対的な位置関係を覚えます。
  • ホームポジション以外のキーを打った後、すぐに指をホームポジションに戻せるように練習してください。指がずれてしまうと、その後のキーは全部間違ってしまいます。
  • 正しくホームポジションに戻れたかどうかは、fキーとjキーに突起が付いているので、触ればわかります。

練習用ソフト

TUTTT

上のスライド資料で紹介しているソフトです。最初はこれを使って指とキーの対応を覚えるのがお勧めです。

ブラウザで動くソフト

SFCで作ったタイピング試験用システムには練習用の問題文もあります。やさしい問題文をクリアすると、試験と同じ問題文で練習できます。

他にもいろいろなタイプ練習サイトがあります。

タイピング試験

原則として毎週タイピング試験を行います(時間が足りない週は行わない場合もあります)。合格すればそれ以降は試験をうける必要はありませんので、先生の指示に従って他のことをしてください。

試験のやり方は、「タイピング試験について」のページを見てください。

チェックポイント
  • この授業ではどんなことを勉強するでしょうか?
  • 先生にメールで質問する時に気をつけることは何でしょうか?
  • テキストエディタとワードプロセッサの違いは何でしょうか?
  • なぜタッチタイピングを練習するのでしょうか?